毎年、冬手前になるとインフルエンザワクチン接種において、ワクチンの流通について院内でいろいろ聞かれます。
特に今年はコロナ禍ということもあり、ワクチンの需要が高まっています。
もくじ
今年は10月から
例年は11月から接種開始する医療機関が多いですが、今年はコロナの影響もあるため国が接種時期を早めインフルエンザの罹患数を抑えようとする動きです。
厚労省から下記の案内が出ており、各医療機関対応は10/1から接種できる体制に当たっています。
高齢者など易感染リスクのある方が優先で
供給量は十分?
では、今年は需要が高まる中で十分な量が供給できるか?というところが気になりますね。
『2020-21インフルワクチン供給について』によると、昨年より約12%多く供給でき、ここ5年間で最大とのことです。
実際の流通状況は?
では実際昨年より多く購入できているかというと・・・
2020年10月末時点で昨年と同じ購入量です。
日々、卸さんと話す機会がありますがそれほど流通している様子は伺えません。
インフルエンザワクチンは各医療機関の前年度実績に基づいて卸から購入できるため、「今年は去年の2倍買いたい」といっても売ってくれません。
たくさん購入する医療機関があると、購入できない医療機関も出てくるからね。
ワクチンの数には限りがありますので、各医療機関の要望に応えることはできないということです。
主に前年度実績に基づいて生産される
インフルワクチンは毎年使用実績に基づいて国が生産量を決めるため、製薬メーカーが自由に製造できないようになっています。
過剰に生産して余った場合は廃棄になるため、例年の実績と世界の感染状況などを参考に生産量が決まります。
特にインフルワクチンは毎年【株】が変わるので、翌年には使用できず、1シーズン限りです。
その年に流行りそうな【株=ウイルスの型】をワクチン成分にしているよ
よって他のワクチンよりも生産のコントロールが難しいのです。
今年はもう終了?
コロナ禍の影響もあり、10月の時点でワクチンが底をつき、今シーズンのインフルワクチンを(一旦)終了する医療機関も出てきています。
地域差や医療機関によって対応は異なりますが、全体的に在庫に余裕がないと聞こえてきます。
例年接種していない人も「今年は打とう!」と考える人もいて、より需要が上がっているようです。
不足してもすぐに生産できない
ワクチンは鶏卵内で製造して、そこから製品化されるまで半年以上かかります。
実際にインフルシーズンが始まって、予想以上に売れ行きがよくワクチンが足りなくなった場合、追加製造しても出来上がるころにはもうシーズンは終了しています。
シーズンが始まってからの増産はできないんだね
シーズン中盤以降にも追加購入もある?!
インフルワクチンは接種開始時期に見合わせ納品されますが、一度に全生産量が卸に納品されるわけではありません。
第1弾が終了しても第2弾、第3弾と購入できることはあります。
※(医療機関によりけり)
今年で言うと11月、12月にそれなりに納品されてくる可能性があるので、その頃が追加購入の時期になりそうです。
第1弾より本数としてはかなり少ないけど・・少しは期待できそうかな。
接種できなかった人は再度確認を!
10月開始の第1弾で接種できなく、今のところ〈当てが無い方〉は、11月中旬以降に再度最寄りの医療機関に確認をしてみてください。
11月、12月でも接種できる可能性があるかもしれません。
追加購入できないと「12%分増産は本当か?」ってなりますね
以上で2020年度のインフルエンザワクチン流通状況でした。
まだ途中経過段階ですが、とにかく例年よりもスピード感がある接種率です。
まだワクチンが終了していない可能性が高いので、希望する方はぜひご確認ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。