認知症薬の希望【グルタチオン注射】

グルタチオンとは?

グルタチオンは注射と内服がありますが、一般的には肝機能障害、解毒作用、悪阻などに効果があります。

その他に点眼薬もあり、白内障や角膜炎に使われることがあります。

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一般診療においては、使用頻度は少ない薬ですかね。

また、注射剤は皮膚に対しては美白効果が期待できるので、美容クリニックで使用されることもあります。

そして更に注目されているのが、認知症の治療にも使われています。

具体的には「認知症による歩行障害」に対して改善作用があると言われています。

これは適応外使用のため、いわゆる「効能・効果」としては現状(2020年1月現在)は厚生省の許可が認められておりません。

また、用量も800~2000mgと高用量で使用され、承認されている用量の200mg前後に比べ遥かに上回っております。

なので、内服では高用量のため吸収限度があるためか無効と認識されており、認知症に対しては【注射剤】に限定して使われます。

適応外なのに効くの?

保険診療で医薬品を使用するには、通常「承認された効能・効果」に対して使用されます。

ですが、中には【承認外=適応外の効能や用量】で使用される薬剤もあります。

例えば、「□□薬は通常使用以外で、○○にも有効性がある」という臨床報告などから実際に使用されるケースがあります。

というのも、世に出ている薬剤はすべてが解明されているわけではなく、平たく言うと、「一定の効果と安全性が試験で確認されている」ということになると市場に出てきます。(他にも費用対効果などいろいろ条件はありますが)

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全てを解明するのには膨大な時間と経費がかかりそうだよ。

厚生省に「承認される」ためには、【臨床試験によって病態が改善された】などのデータが必要になります。

国内だけのデータだけではなく、国外のデータでも申請されることがあります。また、有効性以外にも副作用の安全性のデータなどいろいろ必要になります。

なので、製薬会社は新薬が承認されるために臨床試験を行う必要があります。

また、既存で使用されている薬剤でも≪新たな効果や用法・用量が承認される≫ためには、一般的には臨床試験が必要になります。(例外はありますが)

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試験しないと、どのくらいの有効性か安全性かがわからないからね。

また、適応外で使われていると製薬会社が新たに試験をして承認を得る場合もありますが、そうではない場合もあります。

つまり、適応外として使っていくということです。

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臨床試験をするには費用と年月がかかるし。

企業にとってメリットになるなら、臨床試験が行われることがあるということでしょう。

また、私は経験したことはないのですが、〈薬剤自体が国内で承認されていない〉場合でも、非承認薬が使われるケースもあると聞きます。

→例:まだ臨床試験段階の薬や、海外では認可されていて国内では未承認の場合など。

グルタチオン注で歩行改善

グルタチオンの効果?

私は先日その効果を目の当たりにしました。それは、

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認知症の歩行困難の方が歩けるようになった。

具体的には、

・誰かに支えてもらわないと歩けない人が、

     ⇩

・グルタチオン点滴投与後、

     ⇩

・ゆっくりだけど自身で歩けるようになった。

移動距離は10m弱と短いですが、これが家の中だと長さにしては十分意味はあると言えます。

ちょっとした家の中の移動なら、杖を使ってでも自分で歩けるようなれば介助者の負担も減ります。

また、webで調べるとグルタチオンを使用している医療機関が複数あることが伺えます。

具体的な改善率は何とも言えないのですが、私の知り合いの医師によると、歩行改善率は60%くらいはありそうなことは伺えます。

副作用は?

この高用量グルタチオンによる副作用は適応外のため、未知なところです。

ただ、通常量での副作用は悪心、湿疹など重症になることはほとんどありません。

また、グルタチオン自体は3つのアミノ酸グルタミン酸システイングリシン)から成るトリペプチド です。

なので、成分からいっても安全性が高い薬剤です。

だからといって高用量でも安全という確証はないのですが、有益性と性質を考慮すると【副作用のリスクをとるより、投与する】という考えに意義はあると私は感じます。

ちなみに私が知り合いの医師から伺う限り、現場レベルでの臨床報告では、使用例が数百例以上で副作用は1例程度とのことです。ちなみに下痢でした。

効果の持続性は?

1回の点滴で約1週間くらい効果が持続すると言われています。

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あまり長くは効かないんだね。

実際、1回の治療で長期的に歩行困難が改善されるわけではないので、1週間以上経過すれば、徐々に元に戻っていきます。

現実的には毎週受診するというのは難しいこともあるので、効果が実感できたら、月1回でも継続できたらいいのではと思います。

もし内服でもこの効果が得られれば維持できるのですが、注射剤ということで受診しないと投与できないので。(例外として訪問診療など医療機関外での投与もありますが)

薬の費用は?

適応外使用の場合、保険請求が認められないため原則自費扱いになります。

グルタチオンの投与量にもよりますが、 1回の薬剤料 1000円前後+手技料、材料費(注射器など)がかかってきます。

自費ということで医療機関側で任意に価格設定できるので、原価が同じであっても 各医療機関によって異なります。

ご希望がある方は認知症の診療を行っている医療機関にご相談するのがよいでしょう。医療機関のホームページに載っている場合もあります。

いつか「保険適応取得」へ

現状はグルタチオンの歩行改善は適応外ということもあり、主にその領域の専門医が使用しています。

なので全体的に医療機関で広く使われているかというと、それなりに限られた機関や医師によって使用れていると私は医療現場で感じています。

本当はもっと多くの医療機関で医師が使用できれば、もっと有効性に対する意見が挙がってくるのではないかと思います。

私もこの効果について教えてもらったのは、この1、2年の話だったので、まだそこまでメジャーな話ではないと感じました。(私が情報不足ということもありますが)

医療者各人が学んでいけばもちろん知ることはできるのですが、各人の仕事の環境、背景などにより違いがあるので、全体的な周知にはなかなか難しいです。

これに対し、「保険適応」が認可されると【効果・安全性が認められた】ということが公になり、使用してみたいという医師が多く出ると思います。

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製薬会社殿、保険適応への試みはどうでしょう?

しかも、保険適応になれば患者さんの医療費も自費より安くなります。

これから認知症はますます加速して現代の病気として増えていくことは確かです。

なのでグルタチオンの使用量も今後増えていく可能性は十分あります。

いつか保険適応によってグルタチオンが認知症に貢献できる日を期待します。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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