ワクチンの接種間隔の変更

2020年10月からワクチンの接種間隔が変更になりました。

これまでに比べ、ワクチンの種類によってですが、次に他のワクチンを接種するまでの間隔が緩和されました。

ワクチンは【生】と【不活化】に大別されて、多くが注射だよ。(経口はごく一部)

※トキソイドの分類もありますが、接種間隔的には「不活化」に準じます。

成人はワクチンを接種する機会は少ないですが、乳幼児は頻回に接種するため、これにより医療者や接種対象者(+保護者)の負担が軽減されます。

変更後の接種間隔

変更点としては、不活化ワクチンと経口生ワクチンに関して接種間隔が不要になりました。

よって、注射生ワクチンだけが接種間隔をあける対象になりました

具体的な変更内容は以下です。

厚労省よりワクチン接種間隔変更

また、複数のワクチンの同時接種に関しては、

医師が認めた場合は同時接種可能です。

これは変更以前と同様です。

同時接種の可否については薬剤部に連絡が来ることが多いです。(最終的に医師が認めるという前提で)

ちなみにMRワクチン(麻疹風疹)とおたふくかぜワクチンの同時接種は副反応が強いと聞いたことがあります。(※どちらも注射生ワクチン)

海外を参考に

この変更のいきさつとしては、以前から小児科学会の方で検討され、厚生省に審議をかけていたとのことです。

海外での実情においても、今回の規制緩和になった対象の【不活化ワクチン、経口生ワクチン】に関しては接種間隔不要で行われています。

参考資料➜『同時接種・接種間隔について』厚生科学審議会より(36~39ページ)

イギリスでは一部の注射生ワクチンを除いて、多くの注射生ワクチンにおいても接種間隔不要としています。

今まで先進国の中でも、日本は不活化ワクチンの接種間隔をあけていたんだね。

きっかけはロタウイルスワクチンの定期接種

ロタウイルスワクチンは経口生ワクチンで、2020年10月から定期接種対象になりました。

ロタウイルスとはウイルス感染の嘔吐下痢症です。

それまでは任意接種だったので希望者だけが行っていました。

定期接種になることで対象年齢者が全対象になるため、従来のスケージュールで接種間隔を保つとなると、かなりスケジュール管理が大変になることが予想されます。

生ワクチンだから従来通りだと27日以上あけないとね。(同時接種しない場合)

今回の改訂で経口生ワクチンは他のワクチンとの間隔不要になったため、これが追加になることで大きくスケージュールに影響することはないと考えれます。

他のワクチンとの干渉

不活化ワクチンと経口生ワクチン

今回の改定になった大きな理由としては、不活化ワクチンと経口生ワクチンは他のワクチンに干渉しないと言われています。

干渉とは副反応を強めたり、免疫(抗体)獲得が十分ではなくなるということです

これまで不活化ワクチンは同時接種以外は「6日以上あける」となっていました。

この理由としては、先に打ったワクチンの副反応が消えるのが6日以内とされていたためです。

ですが長年の実績や、海外事情、ワクチンの特性を考慮して、6日以上あけることに意味は成さないという結論になりました。

注射生ワクチン

生ワクチンが体内で増殖するため、3週間くらい体内に残ります。

なので4週間は次の注射生ワクチンと干渉しないよう、間隔をあけた方がいいということになります。

同じ【生】でも経口と注射は別扱いで、注射は干渉力が大きいためです。

注射は「直接体内に入る」ため、免疫系への影響も大きいんだろうね。

ちなみに同時接種に関しては、先ほどの『同時接種・接種間隔について』厚生科学審議会よりにもあるように、注射生ワクチン同士でも有効性や安全性が提唱されています。

むしろ同時接種が推奨されています。

同時接種以外は間隔をあける意味って・・?

私は以前から「同時接種OKなら、同時接種以外で間隔をあける意味ってあるんだろうか?」と思うことがありました。

不活化や経口生だけではなく、注射生ワクチンに関してもです。

「同時接種がダメ」なら一定の間隔をあけるのは理解できるけど、「同時接種OKなら翌日でも良いのでは?!」と思いたい・・

注射生ワクチンに関しては同時接種しなかった場合、他の注射生と27日以上あけることになります。翌日~26日ではダメです。

今回、そのあたりについていろいろ調べてみたのですが、期待した回答は探せませんでした。

もう少し考えてみよう

そして私が注射生ワクチンに対して考えるには、

  1. 同時接種OKとしているのはデータがある
  2. 他ワクチンと『翌日~26日』で接種間隔のデータはない
  3. 注射生は他ワクチンに比べ生体への影響力が強い
  4. 抗体産生中に他のワクチンに干渉される(のでは?)

これらの理由から、改めて注射生ワクチンは種間隔不要にはならないと思いました。

4.に関してはイメージなんですが、

  • ①Aワクチンを投与する➜14日前後くらいで抗体産生が上昇していく
  • ②A投与して14日経過後にBワクチンを投与する
  • ③Aの抗体産生中に、Bへの抗体獲得に体内の免疫細胞が反応してしまう。
  • ④結果Aの抗体が十分獲得されない

26日以内だと副反応の他に免疫獲得にも影響を及ぼしそうです。

同時接種なら同じタイミングなので、抗体産生も同じようなスピードで進んでいくため干渉し合わない状態でしょうか。

同時接種はエビデンスがあるからね

ですが、その途中段階で何かに干渉されると免疫不十分になるのでは・・という感じで。

実際データはないのでわかりませんが、そういうイメージがあります。

不活化や経口生は他ワクチンとの干渉がないので、途中段階での接種で問題はないのですが、注射生はそうはいかないと言ったところでしょうか。

とにかくそれ以上のことはわからないということで。

おさらい

まずは今回の改定で押さえておくこととしては、

  • 不活化と経口生ワクチンは接種間隔不要
  • 注射生ワクチン同士は27日以上あける
  • 同時接種は今まで通りワクチンの種類に関わらず医師が認めたらOK

ということで理解しましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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