注射剤を優先する場合

薬にはいろいろな剤形があることは以前にもお伝えしてきました。

今回、その中でも注射剤が優先して治療に使用される場合についてまとめてみました。

以前注射剤についてレビューしたのですが、改めてどういう時に注射剤が他の剤形に比べて使用されるか追加しました。

今回の内容はどちらかと言うと一般の方向けの内容になるかと思います。

(医療者は理解している人が多いと思うので)

以下は以前の内容です、ご参考まで。

それではいきましょう。

注射剤を使う場合

注射剤を使う場合としては、

  • 急性期(急変時)など《即効性》が必要
  • 確実な効果を期待する
  • 注射剤しかない
  • 飲めない場合
  • 他剤形の効果が不十分(と予測される)の場合

これらの状況下で使用されるのが通例です。

即効性がある

注射剤の特徴としては、他剤形に比べ即効性があります。(デポ製剤など例外はありますが)

なので急性期においては、注射が1stになります。

内服や外用は血液循環に入るまで時間を要するため、同じ薬剤では注射の方が即効性があります。

急性期においての医療行為は、時間との勝負になることが多々あります。

【治療の速さ】が生命維持に重要だね

確実な効果

先ほどの《即効性》と相関する面もありますが、注射はダイレクトに血液に入るため、消化管の吸収レベルに影響しないため他剤形より確実性があります。

(※皮下注、筋注は血液にダイレクトではないが、他剤形より移行が速い。)

ここでの確実性とは『絶対に効く』という意味ではなく、『他剤形に比べて確実に効く』という意味合いなので、当然無効の場合もあります

絶対に効く薬はないかな

(造影剤とかあるか・・・)

また、内服や外用は飲み忘れ(使い忘れ)といった懸念がありますので、特に抗がん剤など確実に効果を期待したい場合、注射を優先することがあります

注射剤しかない

これは他剤形にも共通していますが、薬によっては「注射剤しかない」、「内服しかない」、「外用しかない」ということがあります。

逆に「A薬は注射と内服ある」、「B薬は内服と外用」あるなど、その薬によって存在している剤形は様々あります。

なので「この病態に使える薬が注射しかない」という場合は、他剤形への選択の余地がありません。

例えば、糖尿病でインスリン適応になると、もれなく注射です。

インスリンは将来的には注射以外の希望もあるかも

飲めない場合

入院中内服ができない患者さんには注射剤が優先されます。

テープ剤など外用剤も使用されることもあります。

しかし外用剤に比べ圧倒的に注射剤の方がラインナップが多いので、様々なケースに対応できます。

ちなみに経口摂取不可の場合でも、NG(鼻ー胃)チューブなどから内服が投与される場合があります。

基本チューブはすぐに入れないので、まずは注射かな

※必要な薬が内服しかない場合は、すぐにチューブ入れることもありますが。

他剤形の効果が不十分の場合

内服や外用で効果不十分と予測される場合、同効薬でも注射が優先して使用されることがあります。

例えば、「A薬は内服では効果いまいちなので、まず注射で投与しよう。」

これは利尿剤や抗生剤によくあります

また、血圧管理を厳密に行う場合、降圧剤は内服より注射剤の方がコントロールしやすいです。

注射は微調整しやすいからね

これらはその後状態に応じて、内服に変更していきます。

他には、俗に言う疲労回復の『にんにく注射』というものがありますが、中身はビタミン剤がメインです。

内服でもビタミン剤がありますが、注射の方が効果を実感する人が多いです。

また、『グルタチオン』という内服では認知症に無効の薬ですが、注射にはその一部の症状に効果があると言われており、使用されることがあります。(以下詳細)

注射剤のデメリットは

デメリットとしては、

  • 注射時の痛みがある
  • 血管ルートが取れないと投与できない
  • 医療機関での投与(自己注を除く)
  • 自己注射の場合、患者さんの手技の理解が必要
  • 薬価が他剤形に比べ高価

これらがデメリットとして挙げられます。

ルート確保できての投与

通常注射は静脈投与が多いので、血管ルートが取れて初めて注射投与できるのですが、中には血管が細く確保が難しい場合があります。

皮下注、筋注はルート取れなくても可能だよ

通常は末梢血管から投与しますが、血管が細い(針が刺せない)場合、中心静脈から投与できる処置を行います。

医療機関での投与

医療機関での投与ということは、通院しなくてはなりません。

内服なら自宅でもできるので、投与の時に来院する必要はないです。

インスリンのような自己注射は自宅でできるので、内服と同じようなイメージです。

よって通院(来院)の負担が他の剤形に比べてあります。

患者さんの手技の理解が必要(自己注射)

自己注射の場合、患者さんまたは家族が投与を行うので、手技の理解が必要になります。

「ただ押せばいいだけ」という製品もありますが、インスリンは単位を合わせたりする必要があるため、高齢者には時折難しい場合があります。

特に施設入居者の場合、施設側で看護師が常駐していないと、インスリン適応者は入居できないケースがあります。

その場合、内服に変えたりしてインスリンを諦めることもあります。

血糖コントロールはよくないけど仕方ないよね

薬代の問題

注射は他剤形に比べ薬代が高いです。

自己負担額が厳しい場合、もし代替できるなら注射剤を諦めることもあるかもしれません。

また、入院中は長きに渡って薬を投与すると医療機関での負担を考慮する必要があります。

昨今では【包括医療】といって、固定の入院費用以外の薬代などは病院側が負担するケースが多いです。

それに対し《出来高払い》と言って、入院中使用した薬も請求できる医療機関もあります。

各医療機関が掲げている【〇〇病棟】というので判断できます

以上で注射剤が優先して使用されるケースについてまとめてみました。

これらは後々、内服などに変更する際に薬剤師側の意見が取り入れられることもあります。

それについてはまた改めてレビューしたいと思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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