これまでの病院、調剤薬局での経験を基に、どちらで働くのか自分に合っているかフローチャートを作成してみました。
よかったら参考にしてみてください。
もくじ
フローチャートやってみよう
ということで、フローチャート開始してみましょう!
ちょっと割り切れない所もありますが、感覚的にはだいたい合っているかなと思います。
図面が小さくてスイマセン、もう少し大きくしたかったのですが
対象項目別にしてみた
フローチャートを作成するにあたって、項目で分けてみたので、こちらも参考にしてみてください。
病院編
・病態について詳しくなりたい
・医師、看護師と連携を取りたい
・処方提案を多くしたい
・注射剤を学びたい
・トラブル解決力はある方だ
・早出勤・早退勤がいい
・学会発表のネタが多い方がいい
上記3つ以上当てはまれば、病院薬剤師が向いている、または病院で働くのも有りではないでしょうか。
中でも、「病態に詳しくなりたい」、「医師、看護師とコミュニケーションとりたい」という人は病院で働いた方のが向いていると思います。
➜「薬以外にも医療全般に関わりたい気持ちが強い」的なイメージ
調剤薬局編
・患者さんとたくさん話したい
・薬以外でも患者さんの支えになりたい
・売上に貢献したい
・少しでも給与が高い方がいい
・どちらかと言うと内輪の人間関係が好き
・遅出勤・遅退勤でも苦にならない
上記3つ以上当てはまれば、調剤薬局が向いている、または調剤薬局で働くのも有りではないでしょうか。
中でも、業務の割合で【服薬指導】が大きくなるので、患者さんとの繋がりに重きをおいている人は調剤薬局で働くのが向いていると思います。
➜「患者さんに寄り添いたい気持ちが強い」的なイメージ
各項目の補足
先ほどの対象項目に関して、いくつか補足します。
ちなみに、どの項目においても《絶対的なことはない》ので、どちらの職場環境でも自分次第で改善していくことができると思います。
例えば、「病態について詳しくなりたい」と思って病院で働いてみても、「受け身的」であれば習得できることも知れています。
逆に調剤薬局でも病態を詳しく学べる環境にできる可能性はあるでしょう。
自分次第で変わることが可能、ということが前提で
病態、医療について
「自分次第」とはいえ、やはり病院では病態について触れる機会が多いです。
これにはカルテが見れることが大きな要因でしょう。
医師などの職員の記録には病態、治療経過、介護状況など様々な情報が書かれています。
例えば「この薬は何に使っている?」ということが薬剤師なら誰しも遭遇すると思いますが、カルテを見れば大抵わかります。
他院からの引継ぎの場合など、わからないこともあるけど・・
あと、これはよく思うことなのですが、薬剤師は薬物治療に関することが主な業務になるため、それ以外の治療などはわからないことが多々あります。(個人差はありますが)
治療行為には薬物治療以外にも多くあります。といいますか、薬物治療はその中の一つにすぎません。
また、他に治療の手立てがなく、少しでも治療できる行為の中に薬物治療があるケースがあります。
➜中には効果はほとんど期待できなく【気休め的な治療】のケースもあります。
そのような真相を伺ええて、薬物治療の側面を感じることもできるのは病院ならではないでしょうか。
ということで、医療全般に関わりたい、学びたいという気持ちがあれば病院の方が応えられると思います。
患者さんとの関わりについて
調剤薬局では服薬指導がメイン業務の一つになります。
病院でも服薬指導はありますが、院外処方を出している病院や、お話が難しい入院患者さんの場合は、キチンと指導ができないケースがそれなりにあります。
一般病棟、療養型病棟などの形態によっても変わります
調剤薬局でも全例に対してできないこともあるでしょうが、病院よりはお話できるケースが多いです。
また、服薬指導だけにとどまらず、患者さんとコミュニケーションが深くなっていくと、いろいろ【患者さんの支え】になれることがあることでしょう。
その中には薬に関すること以外にも、患者さんの人生に関わることもできるかもしれません。
病院では入院期間に関わるとすると、急性期では2~4週間前後で退院することが多いです。
ベットサイドでは一人に時間を多く当てられてとしても、外来での治療期間の方が長いです。
➜一般的に、患者さんと接する時間は【入院≪外来】になります。(例外ありますが)
なので患者さんに寄り添いたい気持ちが強い人は、調剤薬局の方が向いていると思います。
他職種とのコミュニケーション
病院では薬剤師以外にも医師や看護師、他の職種の方々と連携することが多々あります。
連携と言うと響きはいいですが、その中には諸問題があった場合は解決していくことも必要になります。
「病棟の薬剤管理で問題があれば、看護部と協議してルールを決める。」
「医師からの薬剤問合せに対応する。」
ということは日常それなりに遭遇します。
解決していくと、それだけコミュニケーションが深まります
良いことも面倒なことも全部踏まえてコミュニケーションが求められます。
なので、他職種とコミュニケーションを取りたい人は病院で働くのがいいでしょう。
逆に病院にいても「薬剤部(科)の中から出たくない」、「病棟に行きたくない」と言う人は調剤薬局の方が向いていると思います。
別に悲観的に申したいわけではなく、人それぞれなのでそう思う人もいて当然ですが、「薬剤部内だけにいたい」という気持ちが行動に現れれば業務に影響することもあります。
逆に薬剤師だけの環境に窮屈を感じるのであれば、病院勤務では病棟に行ったり「薬剤部以外の居場所」ができることになるので、そういう環境を求めて病院で働くのもありでしょう。
諸所の問題解決について
病院でも調剤薬局でも日々のトラブルはどこでもあります。
ただ、それぞれの職場環境でトラブルの種類が異なるでしょう。
それぞれ薬局内問題(在庫、調剤関係など)以外の対外的諸問題としては、以下のことがそれなりに遭遇すると思います。
- 調剤薬局では患者さんとのトラブル
- 病院では医師や看護師といった他部署とのトラブル
もちろん調剤薬局でも処方医とのトラブルや、病院でも患者さんとのトラブルのようにそれぞれ同じような局面があります。
調剤薬局、病院それぞれ問題解決していく場面があるので、件数的にどちらが多いかはわかりません。
ただ、薬剤師なら薬に関することは当然話が通じますが、病院では医師や看護師には問題内容によっては理解が得られにくいことが時折あります。
・・・出荷調整で入荷できない、配合変化により点滴ルート問題など・・・
お互いの職種の立場を理解して問題解決、コミュニケーションができる人は病院に向いているかもしれません。
もちろん調剤薬局でもコミュニケーションスキルは重要なので、結局はどちらにしても求められます。
処方提案について
薬剤師なら誰しも「自分の提案した薬を医師に使ってもらいたい」と思うでしょう。
この処方提案が受け入れられることが多いのは圧倒的に病院の方です。
調剤薬局でも応需する医療機関によって、提案しやすい環境のところもあるかもしれません。
特に病院の場合は、提案だけではなく「下剤で適正なの選んで」、「○○の場合、有効な抗生剤選んで」など、処方がまだされていない段階で薬剤師が薬の選択を求められるケースがあります。
処方された薬剤から代替えを提案するのと、処方されたいない段階で提案するのでは、後者の方が難易度が高いです 。
当然薬を選択するからには、その病態に対して知識が求められます。
なので、たくさん処方提案・介入していきたい人は病院が向いています。
勤務時間について
病院は夜勤がなければ、早出勤・早退勤の職場が多い傾向です。
朝は8:30~9時くらいに勤務開始して、17~18時で退勤できるところが多いです。
しかも病院の場合、(1時間休憩を入れると)拘束時間が7時間30分と一般的な8時間より30分短くなる職場もあります。
調剤薬局では9-18時が一般的かもしれませんが、そうではない薬局も多々あります。
クリニックだと病院より遅くまで開院していることが多いので、調剤薬局もそれに応じて開局しています。
19時で退勤は早い方でしょうか。それ以上に拘束される職場もあります。
なので、早退勤したい人は病院の方が応えられる施設が多いでしょう。
逆に早出勤が苦手で遅退勤に抵抗がない人は調剤薬局がいいでしょう。
遅番希望者は需要が多いので重宝されます。
薬剤師は女性が多い業界なので、家庭的なこともあり早番希望者が多いです
中には「宿当直がいやだ」という人もいますが、宿当直ない病院で働けば気にすることはありません。
ただ、「宿当直がない」ということは病院の規模が小さくなる傾向にあるので、先進的な医療や規模が大きい病院で働きたい人は宿当直を受け入れることは必須になるかと思います。
給与について
これは業界関係者なら皆ご存じですが、調剤薬局の方が病院より給与は高いです。
給与差は年収ベースで50~100万円前後くらいでしょうか。
これは地域差や、役職などによって変わるので、病院の方が給与が高いケースもあります。
なので、「給料が安いから病院を諦める」と思う前に、希望の給与に近づける病院もあるかもしれないので探してみましょう。
☆
(➜地域性以外のことも書いているので、参考までに)
売上、経営について
調剤薬局では店の売上が会社の経営に直結します。
病院でも薬剤部の売上は病院経営に影響します。
ただ、病院の場合は薬剤部の売上、経費は各部門を含めた全体の一部なので、収支に対して自分たちの働きの影響度合いは【病院≪調剤薬局】になります。
特に売上に関しては医師の診療行為に関わる「診療(医科)部門」が圧倒的に占めるので、薬剤部単独での「がんばり」は全体像では薄くってしまいます。
だからと言って、自部署の売上や経費削減に手を抜くわけではありませんが。
売上より、薬剤購入金額減少など経費削減の方が全体への影響大きいかな
なので、職場への「売上貢献・やりがい」、「経営意識」を強く感じる人は調剤薬局の方が向いていると思います。
レセプトについて
レセプト請求は病院、調剤薬局それぞれ必須業務です。
病院では通常医事課が行っていますが、自部署の算定項目はある程度把握する必要があります。(もちろん全把握が望ましいが、影響がわずかな項目もあるので)
ちなみに同じ調剤行為だったとしても、調剤薬局(院外処方)と病院(院内処方)では別の算定方法になります。
調剤薬局では算定項目を知らないと売上などに直結するので、当然知る必要がありますが、病院の場合医事課が担ってくれるので、個人の認識に対して温度差はあります。
「保険に関して詳しくなりたいから調剤薬局に勤める」という選択肢もありですが、病院でも保険に関して学ぶことはできます。
昔は「病院薬剤師は保険知らない」ということを耳にしましたが、結局は自分が興味有るか無いかなので、あまりこの項目は関係ないかと思いました。
病院にいても調剤薬局にいても、お互いの算定項目はある程度知ることはできるので。
学会発表ネタについて
学会発表では多くの薬剤師の先生方が日々の業務において研究されたことをテーマに発表しております。
内容的には、薬物治療、データ解析、患者さん調査、など様々あります。
これも一概には言えませんが、病院の方が題材ネタは多いように感じます。
特に治療分野に関しては、カルテが見れたり医師、看護師の協力もお願いできる場合もあるかもしれません。
ですが、調剤薬局でも題材が無いことはないですし、どちらかと言うと「病院・調剤」というカテゴリーよりは、勤務する病院や調剤薬局の業務内容、職場環境が題材を見つけられるかなと思います。
なので病院だとしても、研究題材テーマを多そうな業務内容、職場環境の病院もあれば、同じような業務が多く題材が少ないと感じる病院もあるでしょう。
調剤薬局でもお同じようなことが言えます。
私が思うには、病院・調剤どの職場でも貪欲に研究心をもてば、転がっている題材ネタに気付けるのではないかと思います。
自分次第ということですかね
どこに所属していても、誰かに題材テーマを教えてもらうわけではないので。
ということで
長くなりましたが以上で病院、調剤薬局の向き・不向きを挙げてみました。
物件選びのように全部が自分に合う項目を選ぶのは難しいと思います。
どれかを妥協することもあるでしょう。
働く上で、「これだけは譲れない」分野をメインに決めるしかないですかね。
フローチャートでは細かく自己解析できないと思いますので、補足で挙げた内容を参考にしてもらえるといいかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。