病院薬剤師って何してんの?~⑦その他院内活動編~

現在私は病院で勤務しています。以前は調剤薬局で勤務していたこともあります。

前回に続き、医療現場の側面に興味がある方や、病院で勤務してみたいと思う薬剤師さんに参考になればいいと思い、一般的に行われている院内の薬剤師業務の内容をご紹介します。

長きに渡ってきましたが、いよいよ終盤に近づいてきました。

今回は《その他院内活動編》ということで、ルーチン業務以外の業務を挙げてみました。

それではいきましょう。

委員会業務

委員会とは、医療の質やサービス向上などを目的として設置されております。

様々な委員会があり、各部署から選出して各委員会に参加して、職員の共通認識を図ります。

委員会での会議はほとんどが月1回の頻度で行われます。

各部署1人が各委員会に選出されますが、看護部など人数が多く複数人いる方が委員会の機能として働く場合は、数人参加することもあります。

(委員会によってはその業務内容に関わりが薄い部署は参加しないこともあります。)

基本は各委員会に1部署1人以上は出る感じかな

また、部署内の人数が少ないと1人が2、3種類の委員会を兼務することもあります。

部員数が少ないと1人の負担が増えるね

そして、委員会によってはその業務内容が一定基準を満たしている(必要業務がなされている)場合、入院患者さんに所定加算を算定することができます。

算定が可能ということは、平たく言うと【その病院が適切な管理環境下(安全・衛生面等)にある】という意味合いで、医療の質を向上するために労力を割いている病院側への対価になります。

以下、薬剤師が関わる委員会を挙げてみました。

感染対策委員会(ICT)

院内の感染管理に対して方針やルールを決めていく委員会です。

内容としては、

院内の感染状況(サーベイランス)、院内ラウンドによる各部署の衛生管理状況、各感染症の発生時の対応・予防などのマニュアル管理、抗菌薬(特にカルバペネム、抗MRSA)の適正使用などです。

院内感染をいかに拡大させないか日々奮闘していますが、職員によっても意識の度合いが異なることもあります。

やはり委員会メンバーだけではなく、全職員が感染管理の認識をもつことが大事なので、全職員への勉強会などを企画して認識を高めています。

(医療法にて研修会は年2回程度行うよう義務あり)

全職員の《感染に対する認識》のレベルアップが院内感染の予防になるよ

薬剤師の関りとしては、主に消毒剤、抗菌薬、バイアル等の開封後の使用期限などに関して意見が求められます。

中でも感染制御認定(専門)薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師といった認定制度があります。

感染管理は多くの病院で共通の業務でもあるため、他の病院に転職しても認定資格があると活かすことができます。

医療安全管理委員会

院内での医療事故を防止するために運営していきます。

各部署で起きたインシデント、アクシデントの内容と対策を話し合い、その後も同じミスをしないように協議していきます。

感染対策委員会と同じように医療安全に関しても、全職員向けの勉強会があり、全職員の医療事故に対する認識を高めます。

(医療法にて研修会は年2回程度行うよう義務あり)

薬剤部では自部署に関するインシデント以外にも、看護部で発生した薬関連のインシデントに対して意見を求められることがあります。

他部署からの違う見方で発想が変わることもあるよ

また、医療安全委員会と感染対策委員会は医療の質・向上に大きく影響して、全職員への共通認識が必要ということもあり、重要な位置づけになります。

栄養管理委員会(NST)

入院患者さんに対して適切な栄養管理ができる食事提供を目指す委員会です。

各患者さんの栄養状態の確認を始め、嚥下がうまくできない患者さんの食事形態を考えたり、栄養補助食品・経腸栄養の検討、口腔ケアなどついて話し合います。

特に栄養士さんが活躍しているよ

薬剤師の関りとしては、経口摂取難しい患者さんへの輸液内容や経腸栄養の選択、嚥下しにくい薬がないかなどチェックします。

褥瘡対策委員会

褥瘡(床ずれ)の患者さんや危険因子がある患者さんに対して、予防や対策を考えていく委員会です。

薬剤師の関りとしては、院内で使用している褥瘡治療薬に対して褥瘡の状態による使い分けを把握しておく必要があります。

褥瘡はその傷に応じた《適切な処置と薬剤選択》が必要だね

また、褥瘡は寝たきりの患者さんに多く起こるので、体位交換など未然に防ぐためにどういうケアが必要かということも皆で確認し合います。

褥瘡は栄養状態と相関することが多く、栄養委員会と共通の患者さんをピックアップすることがあります。

薬事委員会

院内・院外での新規採用薬の検討や採用中止の検討などを協議する委員会です。

院外処方箋の場合、主に院内で使用する薬に関する内容が中心となります。

薬事委員会は薬剤師がメインになって提議していきます。

基本的には1薬品新規で採用すると、1薬品中止にしてと院内の在庫が増えないように配慮しますが、類似薬が無い場合は中止にできないこともあります。

医師から採用依頼があると、薬剤師はまず院内に代用できる薬があれば提案しますが、納得いただけない場合には別の医師からの意見が重要となります。

病院の規模が小さいと、委員会に参加できる人数が少なく十分協議できないこともあり、薬の必要・不要に関しては医師の意見が大きく左右するので複数の医師の参加が必要と感じています。

医師が二人以上参加していないと実質の協議にならないかな・・・

やはり、実際に薬を使った経験やその後経過を診ていくのは医師になるので、ペーパー上の同効薬では別モノだと、時折認識させられます。

また新規採用の場合、実際の使用面においても看護師が適切に行えるかなども重要な要素となります。

その他、期限切迫の薬剤があれば医師に周知して使ってもらうよう投げかけます。

輸血療法委員会

輸血療法を実施するにあたり輸血に関する取り決め、管理体制など決めていきます。

輸血製剤、血液製剤を主に扱います。

輸血製剤は医療機関によっては検査科が担当しているところもあると、薬剤部では関与しないこともあります。

血液製剤はアルブミンを始め院内で使用している薬剤に関して、使用量の確認などを行います。

その他いろいろ

これら以外にも薬剤師が関わる委員会、薬剤師が関わらない委員会など各医療機関に応じていろいろあります。

委員会の種類は医療機関の規模に概ね比例するため、大規模病院では委員会の種類も多くなります。

薬に関する院内研修会の開催

委員会の他院内活動としては、薬剤部以外の職員に対して薬に関する研修会を実施します。

院内には医薬品安全管理責任者(基本は薬剤部長)を設置する必要があり、職員へ年2回程度の医薬品の安全使用に関する研修会が義務付けられています。

研修会としては薬剤部以外の職員に対することと、安全使用の観点から、効能上の内容というより職員がより安全に薬を使用できるように注意点など配慮を向けた内容になります。

副作用情報の他、使用前後に注意・観察してほしいポイントや、処方ミス(オーダリング)などヒヤリハット的な内容を共有して、各職員が安全に薬を使用できる環境づくりを目指します。

患者も職員も薬を安全に使えるのが大前提だからね

以上で院内活動編になります。

これら以外にも医療機関によっては他に行っている業務もあるかもしれませんが、多くの機関で共通する内容を挙げてみました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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