認定薬剤師とは、
一定期間の研修や実技を通して、定められた単位を取得し、最新の知識や技術を有していると認められた薬剤師のことです。薬剤師としてふさわしい資質を維持するため、常に自己研鑽に努めていて、時代に即した薬学ケアができる薬剤師であることの証明になります。
とされています。
国家試験取得後も、各研修や実務で習得したことや治療に貢献した証として掲げることができます。
より専門性が磨かれるね
今回は、実際に私が現場で働いて認定薬剤師に対して感じていることを中心にレビューしてみました。
もくじ
認定薬剤師の種類は?
様々な領域において認定薬剤師があります。
「専門薬剤師」というのは認定薬剤師よりさらに専門性が高く、難易度も上がります。
以下が、認定薬剤師の種類です。
たくさんあるね
各認定の専門分野の内容の違いはもちろん、取得の難易度や、活用できる場面など様々な違いがあります。
認定取得のメリット
認定薬剤師は具体的にどんなメリットがあるでしょうか。
以下にまとめてみました。
同職種、他職種からの信頼
『○○認定薬剤師』というように、主に各専門の名称が○○に掲げられ、その領域に対して標準以上の知識を有していることを示します。
なので、薬剤師同士だけではなく医師や看護師など他職種に対しても、「この人○○に詳しいんだ!」という印象を与えることができます。
【詳しい】ということは、その領域の対応をする機会が増える傾向になります。
《「詳しい」➜質問がくる➜回答する➜信頼される≫という成果に繋がるね
例えば、【抗菌化学療法認定薬剤師】を有していたなら、
「入院してから誤嚥性肺炎を発症して、抗菌薬Aを使用したが改善しない。次の抗菌薬は何がいい?」というような質問がきた場合、対応することがあるでしょう。
もちろん認定薬剤師の資格がなくても、このような質問は日常よくあることで対応はできるのですが、やはりその領域に詳しい人は回答に説得力があり、繰り返していくことで信頼が生まれることに繋がります。
認定領域の活動にメインに関われる
先ほどの例のように、ある領域の認定資格をもっていると、その領域の事例に対応することが多くなるので、結果【事例に関わる➜認定知識を活かす】ことができます。
先ほどの【抗菌化学療法認定薬剤師】は抗菌剤を始めとした感染治療に対する事例に関わっていきます。
そうすると、『より認定領域に関わる』➜『実践を積み重ねる』➜『さらに知識が磨かれる』という経過を辿ることが想定されます。
実践をつんでいくことが大事
ただし各人が勤務している医療機関や調剤薬局によって、得た認定資格を活かすことができることもあれば、できないこともあります。
例えば【がん薬物療法認定薬剤師】の資格を有していても、普段の業務で抗がん剤を扱わない医療機関の場合、その知識を活かすことは難しいでしょう。
せっかく習得した資格は活かしたいものです。
かかりつけ薬剤師の条件の一つ
かかりつけ薬剤師は2016年の診療報酬によって制度化されました。
基本は院外薬局の薬剤師向けの制度で、病院薬剤師に対してではないです。
かかりつけとは「特定の薬剤師」を患者さんが選ぶことで、薬の管理を一元化して不要な薬がないかなど適切に管理できる体制を作りましょう、ということで厚労省が高齢化社会に対する政策の一部としてあります。
これ以上は長くなるので・・
その「かかりつけ薬剤師」になるためには【研修認定薬剤師】の資格が必要になります。
ただ、この「かかりつけ」になることで薬剤師の負担も増えることから、診療報酬に組み込むことで調剤薬局(薬剤師)への対価となります。
個人にどの程度還元されるか会社によりけり・・・
収入アップへの見込みも
先ほどのように認定薬剤師を有していると、「かかりつけ薬剤師」になれる可能性が高まるので、調剤薬局側への利益にも貢献できます。
そうすると、転職時に交渉できるポイントが増えます。
転職ではなく現勤務先においても、【かかりつけの人数】によってボーナスに加算される企業もあるかもしれません。
その他かかりつけ薬剤師ではなくても、実際の業務に必要とされれば収入アップへ交渉の余地があります。
例えば【感染制御薬剤師】は院内の感染対策問題に対して大きく関わっていくため、重宝される存在になります。
そのため病院の薬剤部だけではなく、病院全体への働きかけにもなるため、よりアピールできることと思われます。
認定取得のデメリット
デメリットと呼ばれるか解釈によって微妙ですが、取得する上で負担がかかることを挙げてみました。
お金がかかる
各認定を取得するためには当然と言っていいほどお金がかかります。
以下、費用例です。
主な内訳としては、
- 研修費
- 学会年会費
- 認定試験費用
研修費には交通費・宿泊費も伴う場合があります。
自宅圏内で開催地に行ければいいのですが、地域によっては難しいところもあるでしょう。
そして各認定は【更新制】のため、その資格を有していくためには毎年費用がかかります。
初回は「気持ち的に」費用への負担はさほど気にならないですが、毎年のこととなると負担も大きくなります。
普段の業務への影響がどの程度あるかによって費用に対する思いは変わっていくと思います。
普段の業務で活かせていれば必要経費とみなせるし、そうでなければ費用面と継続意志との葛藤になることもあるでしょう。
時間を費やす
研修のためにはこれまた当然時間がかかります。
講習時間、研修場所への移動時間など。
中にはe-learningなどwebでできる講習もあり、時間の節約ができる場合もあります。
年間で数十時間はかかるのかな
認定を取る前に
これから認定薬剤師の資格を取得しようと思っている方は、費用、時間の面もあるため、資格を取る前にきちんと自分の意志を確認してからがいいと思います。
認定取得するだけなら・・・
もし「とりえず取ってみよう」、「何となく興味がある」というくらいの気持ちだと、長期的にみて微妙になるかもしれません。
もちろん取得することで勉強になり、自身の糧にはなりますが、それをアップデートしていく必要があるため、先ほどのようにお金と時間をかけていく必要があります。
「取って損はない」だけだと続かないかも・・
資格を取得すると最初は80%の知識ベースだったとして、それを100%に近づけるには日々のアップデートが必要です。
当然アップデートがなければ80%から下降するのは時間の問題です。
活用できる職場で働く
やはり資格を活用できる場所で働くのが継続の秘訣になります。
現職で難しい環境の場合は、やりたい認定資格のために転職して環境を変えることもありです。
そして普段の業務に活かせる環境であれば、資格の更新も積極的になるでしょう。
これが自身の興味だけだど、毎年の研修への労力を感じるのと、何より認定資格の専門知識が薄れていきます。
普段の業務で活用できることが最大のアップデートになります。
私は漢方認定薬剤師を取得して5年くらい経ちますが、当時は職場でそれなりに活かすことができていて、やりがいもありました。
現在は職場が当時と変わり、日々に活かすことができないので、更新についてすごく悩みます。
アップデートも遅れてる・・
なので、日常業務にどれだけ活用されているかという観点はやはり重要と感じます。
更新していくことを前提に
繰り返しですが、年々更新してアップデートをすることで磨かれていきます。
なので更新ありきでの研修や費用面などを考慮しておく必要があります。
また長期的に認定資格を活用できる職場環境も大事です。
結論:認定資格は必要?
現在の薬剤師の職務では「まだ認定資格は絶対に必要ではない」ということは言えます。
ですが将来的には各認定資格が今より重宝されることは濃厚だと感じます。
私はすべての認定領域はわかりませんが、感染領域、抗がん剤・緩和領域、糖尿病、栄養領域などは活躍できる施設が多くあります。
薬剤師同士だけではなく、他医療職種への影響も医療業界で働く上では大きく関わります。
そして「かかりつけ薬剤師」を全面にしていく調剤薬局業界は認定薬剤師の有無で給料差をつける時代がくるかもしれません。
もちろん無理に資格をとっても、目的や継続意志がないと結果的に無駄になってしまうこともあるでしょう・・・
今後、認定資格がない薬剤師の働き場所が無くなることはないでしょうが、自身のやり続けたい分野をみつけて資格をとり、活かしていくことは【強味の一つ】になるのは間違いないです。
そうすることでより【個を磨いていく】ことができ、薬剤師選別時代へ生き残る一つの方法になることは確かだと感じています。
長くなりましたが最後まで読んでいただき、ありがとうございました。