現在私は病院で勤務しています。以前は調剤薬局で勤務していたこともあります。
前回に続き、医療現場の側面に興味がある方や、病院で勤務してみたいと思う薬剤師さんに参考になればいいと思い、一般的に行われている院内の薬剤師業務の内容をご紹介します。
それではいきましょう。
☆
もくじ
在庫管理
薬の在庫管理は院内、院外薬局の共通業務です。
薬剤師の職務において、【医薬品の供給】というのが必要とされており、薬剤師法にも規定されています。
具体的に言うと、普段使っている薬を切らさず、過剰にならないよう管理する。期限切れは極力少なくする。
一般的なイメージと同じかな
その他にも、供給停止になった薬があれば代替薬を探したり、入荷しにくい薬があれば卸と掛け合ったりなど、イレギュラー時にもいろいろ試行錯誤してとにかく現場の治療に影響しないように在庫確保をします。
欠品してしまうと患者さんへの治療はもちろん、医師、看護師にも手を煩わせてしまうので、他部署への影響を少なくできるように配慮をします。
地味な業務ではありますが、在庫管理ができた上で調剤業務や病棟業務ができるので、軽視できない業務です。
料理人の〈皿洗い的〉な感じですかね
災害時などを考慮した管理
災害時など医薬品の流通が滞る場合を考慮すると、頻用する薬は余裕をもたせておきます。
頻度が少ない薬は期限切れになる可能性があるので、必要以上に購入しませんが、頻用する薬はたくさんあってもロスにはならないので余裕をもたせます。
概ね5日くらい供給が止まっても大丈夫なように、多く貯えておきます。(病院によって幅はある)
特に輸液が無くなったら生命に関わるよね
在庫を保管できるスペースの問題もあるので、頻用する薬は保管可能な数量をストックしておきます。
ちなみに外来を院外薬局で対応(院外処方箋)していれば、院内薬局では主に入院患者さんだけが対象となるので院外薬局に比べ1種類当たりの在庫数は少ない傾向になります。
外来は90日処方があると、たくさんストックしないといけないからね。
棚卸
院内の薬剤在庫数、期限などを調べて、在庫金額を算出します。
院内には薬局以外にも他部署にも薬が配置されているため(後述する)、棚卸時には院内全部の薬を確認します。
棚卸は年2回行う医療機関が多いですが、中にはもっと回数多い施設もあると思います。
回数が多い方がより管理が行き届きますが、その分業務負担も増えるのでほどほどがいいところです。
棚卸(特にリーダー)は大変ですが、院内全部署の在庫を把握できる業務で、どの部署に何の薬が置いてあるかを知っていると、業務に役立つことは多々あります。
棚卸リーダーは1回はやった方がいいよ
他部署の薬配置
院内では薬局以外にもたくさん薬が配置されています。
病棟、診察室、救急外来、手術室、透析室、放射線室など薬を使う場所に配置されています。
他の部署に薬を配置すると、その分管理をする必要があります。
なので配置する時は、使用度合いを確認してから配置します。
使用頻度が少なければ、必要時に薬局に来てもらえばいいので
薬品補充
他部署に配置されている薬が使われると、その分の補充をします。
通常、定数管理といって、配置する時に薬の種類と数を決めて配置します。
これに基づいて使用した分の薬を補充するのですが、時々この〈定数管理薬〉以外の薬が置かれている場合があるので、確認します。
普段置かれていない薬を使って、そのままになっていることがあるので。
まあ、現場ではいろんなことがあるって感じでしょうか。
期限切れ管理
薬局内はもちろん、各部署に配置されている薬の期限も確認しています。
期限の確認は棚卸と一緒に行うことが多いです。
期限切れ薬がある部署は、必要性を確認して該当薬の定数を減らしたり、配置から外したりします。
在庫を置くということは、その分ロスになる可能性も増えるので、配置する時はそのあたりも考慮して検討します。
高い薬は特に注意しないと
アドレアリン、アトロピンなど主に緊急時に必要な薬は期限切れがどうしても出るため、使用量<廃棄量となる薬もあります。
ただこれらの非常時用の薬は《なくてはならないため》、仕方ないことではあります。
助手員が在庫管理していることが多い
これらの在庫管理や棚卸は、薬局内の助手員が業務を担っている施設があります。
薬剤師が関わっているか(全部または一部)、まったく関わっていない施設もあります。
最近の傾向としては、病棟業務など【対人業務】に重きを置くため、このような【対物業務】と呼ばれる仕事は助手員に移行していきます。
ただ、助手員任せだったとしても、担当者が休みの日があっても困らないように、薬剤師も在庫状況や院内配置薬を理解しておく必要があります。
在庫管理を把握している上での業務移行だからね
治験薬管理
治験薬とは臨床試験段階中の薬のことです。
まだ承認されていない薬や、既承認薬でも新規用法を試験している薬などを指します。
治験薬の業務を行っている医療機関では治験薬の管理も必要となります。
治験薬業務を行う場合、治験コーディネーター(CRC)と呼ばれる職種によって円滑に進められていきます。
CRCは医療機関の職員ではなく、治験専門の窓口になってくれるので、薬の保管を始め投与スケジュールなど諸々管理してくれます。
CRCの指示に従って管理してマス
以上で在庫管理編です。
それほど難しい内容ではないのですが、夜間や休日など薬剤師が出勤していない日も病院は運営している【入院・救急患者さんがいる】ので、そういう状況でも他職種が困らないように、かつロスを少なくしていくことが日々在庫管理していくことが大事だと感じています。
これまで病院薬剤師の仕事内容についていろいろ発信してきました。
この投稿シリーズもいよいよ終盤です。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。