前回のコロナワクチン調製~コミナティ編~から約2か月が経過して、市の集団接種ではモデルナ製に切り替わりました。
今回はモデルナでの調製において気付いたことを書いていきます。
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もくじ
モデルナは希釈いらず
調製においてコミナティとの違いで一番の大きな変更点は、生食希釈が不要ということです。
コミナティでは生食1.8mLに希釈して、0.3mLずつシリンジに採取する作業が必要でしたが、モデルナ製はバイアルから0.5mL採取するだけでOKです。
1バイアルに5mL入っていますので、0.5mLずつ採取すると1バイアルで10人分になります。
ちなみにコミナティは1バイアルで6人分でした。
と、これだけで終わってしまって物足りないので、一通り流れを書き留めておきます。
解凍時間
モデルナもコミナティと同様に冷凍保存されています。
厳密には、コミナティは-90~-60℃のディープフリーザーと呼ばれる低温度管理できる冷凍庫で長期保存されているのですが、モデルナ製は-20±5℃で保存されています。
家庭の冷凍庫と同じくらいの温度だね
解凍時間は、常温で1時間、冷蔵で2時間30分かかります。
なお、解凍して冷蔵庫で保存していれば30日間は使用可能です。
解凍後の使用期限はコミナティと同じだね
解凍後の温度は25℃まで
コミナティでは解凍後30℃までで管でしたが、モデルナは25℃までになっています。
夏場では会場の温度によって25℃を越す場合もあるので、温度管理には注意が必要です。
25℃までで管理していれば12時間は使用可能です。
(先ほどの冷蔵で30日間以内の使用は、常温に戻さず冷蔵庫に入れたままでの使用期限)
採取したシリンジ内、バイアル残液は6時間以内の使用(遮光も必要)
いろいろ時間の制約がややこしいのですが、バイアルからシリンジに0.5mLずつ採取して使用しますが、この採取したワクチン液は6時間以内に使用しなければなりません。
また、バイアルにまだ使用できる残液が残っていたら、同じく6時間以内に使用しないと廃棄になります。
先の「25℃以下で12時間まで」というのは、針を刺す前なので密封状態が保たれている前提での使用期限です。
シリンジに移すには注射針でバイアルから移すので、衛生面・分解速度からなのか6時間以内と短縮されます。
やはりmRNAワクチンということで、扱いが細かいです。
1人0.5mL、1バイアルで10人分
0.5mlが1人分の接種量です。
1バイアルから10人分採取できます。
なので、10回バイアルから採取する必要があります。
生食希釈がないので基本的にはバイアルから採取していくだけなのですが、ちょっとした問題があります。
いわゆる「コアリング」というやつなのですが、バイアルに針を刺す回数が多いほどコアリングの影響が大きいです。
コアリングとは、
バイアルを覆っている蓋がゴム栓でできており、針を刺す際にそのゴム栓の一部が削られてバイアル内の薬液に入ってしまうこと。
採取したシリンジ内にゴム栓が入っていないか目視して確認します。
また、バイアルの同じ箇所から針を刺すとゴム栓がその分削られるので、毎回針を刺す場所を変えていきます。
コミナティや他の薬剤でも同じようなことは可能性としてはありますが、1バイアルに10回刺すモデルナはコアリングの可能性が高くなります。
筋注で
モデルナでもコミナティ同様に投与経路は筋注です。
金属片も・・・
コアリング以外にもモデルナには「金属片が混ざっている」というニュースが流れました。
これは針を刺す前の段階で既にバイアル内に金属片が浮いている状態があったため、調製前に最初にバイアルの中に異物がないか確認をしていました。
そこで異常がないことを確認して、シリンジ採取して再度コアリング等の確認をして、看護師さんに渡します。
さらに、看護師さんにおいても再度異物がシリンジ内に入っていないか投与前に確認していただく工程をとっていました。
入念な異物チェックでした
2回で接種完了、2回目は4週間後(2021年8月時点)
モデルナでは2回目の接種が4週間後です。
コミナティでは2回目が3週間後だったので、若干違いがあります。
もし4週間過ぎた場合はできるだけ早く2回目を接種するということになります。
4週間過ぎた場合、いつまでに2回目を打たなければいけないということはありませんが、抗体価が維持できるよう早めに接種した方が良いという解釈です。
この辺りはコミナティと同じ解釈です。
というわけで今回はモデルナ製コロナワクチンの調製について書いてみました。
生食希釈がない分、単調ではあるものの温度管理や異物確認がコミナティとは別に注意する
ことがありました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。