もくじ
インフルエンザはうつる
インフルエンザに罹った人と接触したら、どうしたらいいのかな?
インフルエンザに罹った人と接したら、「うつる」と不安になる人もいると思います。
インフルエンザはウイルス性の疾患で、咳やくしゃみから他人にうつることは有名なお話です。
通常、インフルエンザウイルスの潜伏期間は2日間と言われ、 接触して2日以内にインフルになってしまったら、「うつった」可能性はあります。
もちろん、その期間に単発(自分自身)で外界からのインフルエンザウイルスに罹患した可能性もあるので、うつったかどうか断定はできません。
ちなみに潜伏期間から考えると、 罹患者と接触して2日以降にインフルエンザになった場合、「うつった」とは考えにくいことになります。
うつる可能性がある以上、罹患者と接触した場合は、手洗いやアルコール消毒を行うに越したことはありません。
インフルエンザ薬で予防できる人は?
インフルエンザ薬の予防投与が必要な人はどういう人だろう?
インフルエンザ治療薬で代表するタミフルなどの添付文書(説明書)には予防投与の内容が載っております。
(以下、予防投与の記載内容)
原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする。
- 高齢者(65歳以上)
- 慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者
- 代謝性疾患患者(糖尿病等)
- 腎機能障害患者
つまり予防対象者は〈接触した人全員〉というわけではなく、〈上記の条件下にある人〉が一般的に対象だと記載されています。
予防薬が不要な人の方が多そうだね。
通常はインフルに罹患した場合に「治療薬」として使用されますが、罹患していなくても、このように「予防薬」として使用れさるケースがあります。
まずは接触期間の長さを考える
先ほど挙げた予防投与対象者に「高齢者」、「慢性呼吸器疾患」など具体的な病態該当者に目がいきますが、その前提として、
『原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である 』
この前提が予防投与を考える上で重要になります。
接触期間が長いと、ウイルスもそれだけ接しているよね。
予防薬は罹患者の同居者など接触期間が長いかがポイントです。
家族などの同居者は接触している時間が長いので、インフル罹患者が回復するまで接触する期間は長く、「うつる」可能性はあります。
そして同居者の中でも「高齢者」や、「慢性呼吸器疾患」などその他記載されている病態の方は、一般的に免疫力が低く、ウイルスを排泄する力が弱いため、感染リスクが高いので〈薬を予防投与をする意義はある〉ということになります。
つまり、この対象以外の人たちにも投与すること自体は不可ではないのですが、実質あまり意味はないかということです。
ご存じのように人には免疫機能が一般的に備わっているので、薬を投与しなくても罹患しない場合もあるので。
その他にも、入院患者さんで同室者がインフルに罹患したら、同じ部屋の患者さんも 同じ空間で過ごすという観点から インフル薬の予防投与をする場合もあります。
ただ、予防投与をすれば耐性化という意見も出てくるので一律に行うか難しいケースですが。
個人的には同室者の病態状況に応じて予防投与の判断をするのがいいと思いますが、いろいろケース分けすると煩雑さもあるので、このあたりは各施設の取り決めによって運用されています。
予防薬を希望した場合は?
予防対象者の原則は先ほど挙げましたが、それでもうつるのが不安になった場合はどうでしょう?
例えば、
①親がインフルになった。受験を控えている子供(同居者)にうつらないか心配。
不安だと薬あったら安心する人もいるよね。。
①の場合、子供に持病がなくても親としては受験の大事な日に、もし体調悪くして試験に失敗したら・・と不安に思うでしょう。または子供自身もそう思うかもしれません。
もし薬の希望があれば医療機関にご相談しましょう。医師の判断になりますが、意向に沿っていただける可能性があります。
ただ、10代はインフル薬による異常行動の懸念もありますので、リスク・ベネフィットを考慮した上で医師とご相談ください。(薬剤による因果関係は断定はされていません)
まずは完治するまでは罹患者と接触を控える、手指消毒など標準予防を念頭に考えましょう。
②喘息持ちで心臓も弱いご高齢者が、インフル罹患者(非同居者)と濃厚接触した。
②の場合、相手がインフルとわかっていれば、特に免疫系に持病のある方が接することはないかと思いますが、「その時わからなくても、翌日相手方がインフルだったとわかった」など時間を経てから発覚することは時折あります。
そうなると〈インフルに罹っていた人と接触していた〉という可能性が高くなってきます。
これに関しては、判断が難しいところですが、接触時間が短くて(数時間くらい)症状もさほど気にならなければ、経過観察で済む場合がよくあります。
焦らず状態を観察しよう
すぐに受診しても何も必要ない状態かもしれないので。
発熱など症状的に不安が出てきたら医療機関にご相談しましょう。
予防投与は保険適応になるか?
一般的に、「予防目的」の場合、保険給付できないため薬剤は自費扱いとなります。
保険は【治療に必要と認められた(またはそれに値する)】時の給付です。
自費の値段としては、タミフルで約3000円(ジェネリックでは約2000円)くらいになります。(⇨価格は10日分。予防の場合7~10日分服用が必要。)
もちろんインフルの「治療目的」として薬が処方されたら、保険扱いになります。
ここで、よく混同するのが、「検査でインフル陽性じゃなかったら、インフル薬は自費になるのか?」という疑問が医療現場ではたまに聞こえてきます。
これに関しては、検査で陰性でも臨床的(発熱などの症状などから判断)にインフルと医師が診断して、薬剤が処方されれば保険扱いになります。
検査キットも100%正しいわけではないので、疑わしい症状でも陰性と結果が出ることもあります。
熱発していても、体内でのウイルス増殖がまだ低い段階では、検査にひかからないこともあるので。
こういう場合は、最終的に医師の判断で診断されます。
インフルと認められればそうだし、否定されることもあります。
なので、検査キットの結果と、保険給付かどうかは別問題ということになります。
なので、明らかな症状が出ていなく、本人希望など医師の見解と異なる場合は一般的に自費扱いということです。
基本は標準予防策またはワクチンでの予防!
今回は「インフル薬でインフルエンザを予防できるケース」ということで書いてきましたが、インフルの予防の原則は「標準予防策」と「ワクチン」です。
薬での予防は限られた場合です
標準予防策とは、端的に言うと、手指衛生、アルコール消毒、マスクなどによってウイルスの体内への侵襲を防ぐことです。
もちろんこれだけではなく、感染病態によってはゴーグルやガウン(エプロン)を付ける場合もあります。
※webで一般公表されていました⇨『北大の標準予防策』(院内感染マニュアルなので詳しく書かれています)
ワクチンも毎年のようにニュースになりますが、受けておきましょう。
「インフルワクチンは意味がない」という記事を目にすることが時折ありますが、実際どのくらい効果があるかを明確に立証するのは難しいです。逆に効果がないということも立証するには相応の根拠が必要になります。
(文章が長くなるので別でレビューしたいと思いますが)
ですが、私は「予防できる可能性がある以上、接種しておこう。」という考えです。(もちろん接種によるアレルギーなど、リスクをクリアできた場合)
単純な意見かもしれませんが、必要、不要論、現状の医療現場、行政の対策、保険財政など総括して考えた意見でしょうか。
医療では現在に至るものでもすべてが解明されていないことは多々あります。
これはワクチンに限ることではないので。
ということで、各自がそれぞれ自己予防をしていくことが大事ということは忘れずにしたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。