検査の【感度】と【特異度】のお話

コロナやインフルエンザなどの検査には【感度】【特異度】という言葉が出てきます。

何となくイメージはできていても、いざ説明するとなるとうまく説明できないので、今回改めて調べてみました。

これだけは押さえておく

検査は必ずしも100%正確に陽性・陰性を判断できるわけではありません。これが前提にあります。

つまり、検査結果には【偽陰性】、【偽陽性】ということが起こり得ます

もちろん偽陰性、偽陽性の方が確率的に低いですが

これから感度、特異度のお話が出てくるので、まずは図式でイメージしてみてください。

BioTech ラボ・ノート
ライフサイエンス研究にITの力を!より引用

難しいことは後回しでまずは【感度】、【特異度】で押さえておきたいことを書いていきます。

感度とは

疾患を有する人のうち、「実際に罹患している」人の割合のことを言います。

そして、以下のことが言えます。

  • 感度が高い➜偽陰性が少ない
  • 感度が高い➜〈陰性〉の信頼性が高い=【真陰性⇧】
  • 感度が高い➜【真陰性⇧】➜除外診断に有用

感度を上げると【真陰性】の確率が上がります。

よって、感度が高い検査で【陰性】が出れば、疾患から除外できる可能性が十分あるため、《除外診断》に有用となります

感度⇔真陰性の関係性

陽性に関しては、感度を上げていくと真陽性、偽陽性共に割合が増えます。

これに関しては後ほど解説で。

特異度とは

疾患がない人のうち、「実際に罹患していない」人の割合のことを言います。

そして、以下のことが言えます。

  • 特異度が高いと偽陽性が少ない
  • 特異度が高い➜〈陽性〉の信頼性が高い=【真陽性⇧】
  • 特異度が高い➜【真陽性⇧】➜確定診断に有用

特異度を上げると【真陽性】の確率が上がります。

よって、特異度が高い検査で【陽性】が出れば、疾患を有している可能性が十分あるため、《確定診断》に有用となります。

特異度⇔真陽性の関係性

陰性に関しては、特異度を上げていくと真陰性、偽陰性共に割合が増えます。

これに関しては後ほど解説で。

まずはこれらを押さえておくだけでも、イメージが付きやすくなると思います。

もう少し知りたい方は以下を読んでみてください。

感度、特異度それぞれ高い方がいいが・・・

当然ながら感度、特異度それぞれ高い方が検査の信頼性が高いということになります。

では、感度100%、特異度100%の検査は存在するのでしょうか?

残念ながらそのような検査は存在しないのです。

感度と特異度の相関性

今回いろいろ調べていくにあたり、今まで知らなかったことがありました。

それは、先のように感度100%、特異度100%の検査は存在しないということと、感度と特異度の関係はある範囲になると相反することになります。

どういうことだろう・・・?

先ほどの説明で、〈感度と陽性の関係〉、〈特異度と陰性の関係〉で理解しにくい所がありましたので、こちらで解説してみます。

感度を上げていくと

すごくわかりやすいサイトがあったので引用させてもらいました。

http://kimuakilabo.main.jp/stat11.htmlより

この図のように、感度を上げると真陽性、偽陽性が共に増えます。

陰性に対する精度が上がる分、陽性者が全体的(真+偽)に増えます。

よって真陽性の指標である【特異度が下がる】ことになります。

特異度を上げていくと

これまた同じサイトから。

http://kimuakilabo.main.jp/stat11.htmlより

この図のように、特異度を上げると真陰性、偽陰性が共に増えます。

陽性に対する精度が上がる分、陰性者が全体的(真+偽)に増えます。

よって真陰性の指標である【感度が下がる】ことになります。

少しずつ両者の関係性が見えてきたかな

カットオフ値の設定

カットオフ値とは疾患と非疾患の境界値のことを言います。

これを設定することで必ず偽陽性、偽陰性が発生します。

そして感度100%、特異度100%の検査がないということにもつながります。

通常このように〈疾患なし〉、〈疾患あり〉群に分けて見てみると、

カットオフ値の変動により偽陽性、偽陰性が変動します。

感度を上げると

陽性者をより多く検出するため、カットオフ値が左にずれます。

そうなると偽陽性が増えます。

よって特異度が下がります

特異度を上げると

陰性者をより多く検出するため、カットオフ値が右にずれます

そうすると偽陰性が増えます。

よって感度が下がります。

カットオフ値との相関性

上記の図で分かりにくい場合は、こちらの図も参考にしてください。

(Sensitivity:感度、Specificity:特異度)

https://www.hulinks.co.jp/support/sigmaplot/v14/usersguide/p132200.htmlより

カットオフ値を境に、片方の精度が上がれば、もう片方の精度が下がります。

また、先ほどのサイトからもイメージできる図がありました。

http://kimuakilabo.main.jp/stat11.htmlより

感度100%、特異度100%の検査がないということがイメージできたかな。

まとめ

まだまだ感度と特異度のお話は奥が深いようですが、私が理解できたのはこのくらいまででしょうか。

最後にまとめると、

  • 感度は真陰性の指標➜除外診断に有用
  • 特異度は真陽性の指標➜確定診断に有用
  • 感度と特異度は相関する
  • 感度100%と特異度100%の検査はない

これを忘れずにしましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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